昔からズボラな私達
正月早々、私は死人を目にした。
語弊がある。というかもはや釣りだなぁ。正確にはミイラ展に行ってきました。
科博が主催の「国内最大級ミイラを科学する展示」らしく、三が日なのに会場は人でごった返していた。
(ちなみに私の通う大学は博物館で割引が効くので、お安く入場できた。)
ヨーロッパ風でザ博物館的な外観の科博。凄い重厚に撮れた。
ミイラと言えば、ハムナプトラやナショナルトレジャーなど若干B級っぽい映画の主題になりがちだけど、今回は展示名にもある通り「科学する」。
キャー怖い〜的なノリは皆無である。
入場してまずあるミイラには、中身がプロジェクションマッピングされていた。作りを見える化していて感心する反面、「まさかこんな風になるとはだよね」と序盤から謎にミイラに感情移入してしまった。
来ている人を見てみると、正月だからか家族3世代も多くいた。
おばあちゃんは孫にエエもん見せたいと思ってるのだろう。展示のショーケースの真ん前に滑り込み、「〇〇ちゃーん!」と孫の名を大声で呼ぶ。さながらバーゲンセールである。目の前にいるのは商品じゃなく人のミイラなのに。
死人を前にし、なんというか生きてる人って元気よなぁと、当たり前のことを実感した。
展示の中で特に私に刺さったのは、ミイラの姿勢である。実は古代アンデスでもミイラ作りは行われており、高地に住むチンチョーロ族の人々は、崖の岩棚に遺体を安置をする文化があったらしい。しかし標高の高い場所へ人を運ぶのは簡単ではない。
チンチョーロ族が住む標高の高い地域チャチャポヤ。言葉の響きがなんとも楽しい文化である。(ナショジオHP)
そこで生まれたのが、体育座りのミイラである。キュッと体を縮めることで、従来の全身伸ばしたミイラにはない運びやすさを実現。そして持ち運ぶために麻の袋にいれるのだが、どれが誰かわからなくなってしまう。だから、布の表面に似顔絵を書くのだが、なんとも小学生的な絵でゆるくてかわいい。
実物は後々見返したら結構気持ち悪かったので、ぬいぐるみバージョンです
「えーそんな雑な扱いでいいのかね」と思うが、いかに楽するかを追求したズボラさには、現代人の私も親近感を感じた。
死人を目にしながら、人間味を強く感じて、妙な面白さがある展示だった。
帰りに少しだけ恐竜も見てきた
ミイラ展ホームページ https://www.tbs.co.jp/miira2019/