旅行に行けない気持ちを満たす本 パート1

旅行に行きたいのに、行けないのだ。 時期的にも世間的にもしょうがないのだが。 ここ最近は人に会うたびに「旅行行きたいっす」と話してしまう。 でも、とにもかくにも在宅である。

このもどかしい感覚、心当たりがあるなと思い返したら、 3年前の大学受験で出かけられなかったのと同じだと気付いた。 同時に、当時出かけたい欲をいかに満たしたか思い出したので、 今日はそれについて書き起こしていきます。パート1です。

 

「河童が覗いたヨーロッパ」 妹尾河童


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コレです

 

気づいたらしれっと家の本棚にあった本。昭和53年初版で、 小説「少年H」を書いたことで有名な妹尾河童さん著の紀行文ヨーロッパ編。 とはいえ、 教会建築や歴史のある建物・現地の人の手書きスケッチがこの本が魅力的なポイントだ。 鉛筆でラフかつ超緻密に書き写された絵と、 一字づつ濃い筆圧で記された文章が約300ページ続く。

 

また、 掲載されているのは空港や街の人に安いと紹介され、あくまでも“たまたま” 河童さんが泊まった宿の話だ。旅行ガイドブックのような「 この宿の温泉は~」とか「ごはんが云々、、、」 などお勧め情報はないので、豪華な旅とは決して言えないが、 背伸びしていない旅感があってスッと読めてしまう。

今思うと、国ごとの電車の車掌さんの制服や気候に基づくビデ文化の違いを比較しているのは実に地理っぽいのだが、当時志望校すら定まっていなかった高3の私は、単純に「おもしれ~」くらいの気持ちで毎朝15分の読書の時間に読み進めていた。まさか地理学科とか入学するとは思わないよね。

 

この本は宿と観光した場所の記録が主だが、 たまにエッセイ風の文が挟まれている。これが特に私は好きで、今でも繰り返し読んでいる。

中でも「旅の秘訣は得点法」という話は、共感だ。言葉が通じないことやマイナスな体験ばかりに注目するのではなく 、なんでもプラスにとらえると旅の楽しさは増すぞ、というのがざっと内容なのだが、 海外旅行で何かしらハプニングが起こる経験は誰しもあると思う。

ちなみに私はオーストラリアに行った時、シドニー空港に愛用の一眼レフを置き去りにした。帰国後気づき、 ロストアンドファウンドとメッセージを数日繰り返す惨劇があった が、ドタバタは海外旅行感があって案外楽しかった。( 無事見つかった)

 

キラキラした海外旅行情報や、海外での現地人との交流の様子は、 ネットで多く見ることができるけれど、 河童さん独特のユーモアあり、 時に辛辣な文章は他にはない爽快さがあるので、 普段本を読まない人にもお勧めです。