花粉の妙

しれっと花粉が飛び始めた。

いつもは杉の木がゆさゆさと揺れ、黄色い粉が飛散する映像をニュースで見て、鼻がムズムズするなぁと思いティッシュケースへ手を伸ばす。これが花粉の季節スタートの合図だった。

 

しかし今年のメディアの注目の的は、花粉<コロナウイルスだ。花粉症持ちの人がマスクを持つことを優先される風潮も無い。みんなマスク飢え。原宿ではカラフルなマスクの詰め放題が人気らしい。どっかの病院でマスクが大量に盗難されていて、いよいよ感染映画みたいになってきたなとヒヤッとする。

 

そんな中、アレグラのCMを見てホッとしたのだった。やっぱ、花粉、始まってますよね!!!と私はテレビに向かって全力で同意した。
「今年から花粉症かも〜」「ち、違う!このムズムズは花粉症じゃなくて、風邪なんだ、、、!」「実は日本人の二人に一人が花粉症なんですよ〜」

今となっては恒例行事のようになった、花粉の話でひと通り盛り上がるあれに恋しささえ感じる。

花粉症で謎に日本全土が一致団結し、よしみんな頑張って耐えよう!となる慣例を思い出しのだった。

しかもCMには嵐の大野くんに加え、HeySayJUMPの知念くんが出ていた。引き継ぎの季節である。

 

この鼻のムズムズは花粉が原因だと確証を得たと同時に、世間がウイルスでパニックになっているという事実を冷静に見られるようになった。殺人事件やインフルエンザは消滅したのかと勘違いするレベルで《コロナウイルス》のことしかニュースがやらないのは異常だったんだ。

 

もしウイルスの特効薬が発明されたら、CMすらその薬で埋め尽くされちゃうのだろうか。紫色のカツラを被ってアイドルが踊ってることすら、不謹慎とされるかもしれない。それはもはや洗脳の域だなぁ。花粉症を蔑ろにするなぁ〜とか言えなさそうな世界だななどと、勝手に空想を広げた。

 

例年は花粉のことを思い出させてくるから嫌悪感しかないCMだが、今年はもはや安心を与えてくれている。来年は花粉症についてあーだーこーだ言える世の中に戻ることを祈る。